世の中運不運はつきものです。

買取をやっているといろいろなことがあります。
高価なレンズを丁寧に防湿庫で保存していたのに
カビが生えてしまったり、バルサム切れをおこしてしまったり
クモリが発生してしまったりすることもあれば
何の手入れもせずにホコリまみれになったままの
レンズの中身が新品同様だったりすることもあるのです。

さて今回の買取は、いつものようにヤマト便によってやってきました。
箱を開けると上に買取依頼のメモ書きが。
それからするとレンズ5本とボディーの買取の模様。
その中にはPlanar85mmF1.2MMGという大将もいます。
メモ書きや梱包の様子からしてかなり綺麗な物のようです。
こういう綺麗な物の査定はいつも以上に緊張します。
そそくさと手袋をはめ小さめの物から査定を開始します。
予想通り綺麗な物でA,A-,Aと高評価の連続
そして最後は大将のPlanar85mmF1.2MMG。
これも他の物同様にA-の高評価。
で終わるはずだったのですが、よく見るとレンズ内に灰色のリングが。
このレンズでこんな症状は見たことありませんが
後玉2,3枚目のフチ数mmが灰色に変色しているのです。
バルサム切れのようには見えないし、クモリでもないようです。
s-_MG_9990
結局はコーティングの劣化ということで結論付けました。
さてこの結果をご依頼主にお伝えしなければなりません。
こんな時は少々気が引けます。
特に今回はレンズ内がそんなことになっているとは
夢にも思わずむしろ査定金額を楽しみにされているはずです。
そんな方を目の前にして”このレンズには問題が・・・”
と切り出さなければならないのですから。
たぶんお電話だけではご納得いただけないのではと思い
上の写真のようなものを数点添付させていただき
お客様のご了承の上、買い取らせていただきました。
それにしてもお気の毒です。
何で他のレンズと一緒に保存していたのに、この1本だけが・・
それもよりによって”大将”だけが・・・
心中お察し申し上げます。

s-_MG_9988
こういった物語があってのこのお値段。
Planar85mmF1.2MMG A-ランク  ¥248,000−
(コーティング劣化はほぼ有効口径外ですので実写には影響ありません。
ちなみに付属品は専用フード、ケース)